私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
学びたい願い

同志社女子高等学校 三年
松本 麻由

 日本の子供の七人に一人、なかでも一人親家庭の半数は貧困状態にあると言われている。貧困が引き起こす格差は様々な分野にわたるが、その中で特に私が注目するのは教育だ。

 実際、貧困家庭の子供の大学進学率は一般家庭の半数程度と知り驚いた。日本では最終学歴や正規、非正規といった就業形態による所得の格差が存在するため教育格差が生涯所得に大きく影響してしまう。だがどれだけ学ぶ意欲があっても塾などの習い事への金銭的余裕はなく、私学に通いたくても通えない。そんな子供が多いということではないだろうか。

 特に二〇二〇年から日本にもコロナウイルスが入ってきた。私の家庭においては父のリモートワークが増えた程度であまり影響はなかったが、ウイルスにより飲食店経営や旅行会社など収入が激減した職業が少なくないことは明らかである。

 そんなある日、学校で私は私学助成という案内を受け取った。目を通してみると収入が少ない家庭に国や地方公共団体から補助金が支給され、私学に通うという夢が現実となる制度とのことだった。現在少子高齢化が進み現役世代の必要性は高まり続けている。つまり私たち高校生は学んだ知識を将来の職に活かし、その収入で増加を続ける高齢者を支える必要があるのだ。そうでなければ日本の財政は悪化し続けてしまうだろう。そんな世の中だからこそ私は教育関係の格差によって十分に学べない子供がいてはいけないと感じる。貧困家庭に生まれた子供もその親も決して貧しくなりたくてなっているわけではない。だからこそどの家庭に生まれても平等に教育を受ける機会が与えられる必要があると言えるだろう。私は私学助成の制度があれば貧しい家庭に生まれた子供が学力不足により将来、また貧しくなるという貧困の連鎖をとめるきっかけになると思った。

 日本国憲法第二十六条――。すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。現在の日本はまだまだひとしいとは言い難いが実現のために国民が少しずつ出し合った税金によって私学助成の制度が全国に広まってほしい、単純にそう思った。税金というお金は国を良くするための限られたものだから使い方がとても重要である。時には国の未来をも左右してしまうかもしれない。今後、未来の夢を貧困が理由で掴み損ねる子供がいてはいけない。そう私は考える。