
京都府租税教育推進連絡協議会賞
税の「募金」
京都教育大学附属高等学校 1年
末次 珠莉
税といえば「消費税」。消費税といえば「高い」。これが私の税に対する印象だった。税に対してマイナスの印象が強かった私は正直、税金を払いたいと思わなかった。しかし、祖父の出来事をきっかけにこの考えは大きく変わったのだ。
昨年、私の祖父は多発性骨髄腫という病気を患った。骨髄の中にある形質細胞と呼ばれる細胞ががん化し、骨髄腫細胞というものになり増殖する血液の病気だ。動悸や息切れ、骨折の痛みなど症状はさまざまだ。祖父は三ヵ月にわたる入院や薬による治療の日々を過ごし、現在も通院をしている。私はふと思ったことを母に聞いてみた。
「おじいちゃんもおばあちゃんも年金で生活しているけど、おじいちゃんの入院費とかって大丈夫なの?」 すると、「おじいちゃんは国の高額療養費制度に適応するから国が何割か負担してくれるんだよ。」と母は答えた。「高額療養費制度」を知らなかった私は詳しく調べてみた。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額分を支給する制度であることが分かった。また75歳以上の人は金額にかかわらず自己負担額を全て合算し、高額療養費を算出するため、より多くの負担を国がしてくれるのだ。長期入院という不安を抱えるなか、 この制度により祖母の金銭面の不安はいくぶん軽減しただろう。なにより私は、祖父が安心して治療を受けられること、まだ祖父の笑顔を見ることができることが嬉しかった。この高額療養費制度は患者はもちろん患者の家族まで金銭面で安心させることができるのだと思った。
納税についての話を聞くとき、よく「取られる」という表現がされる。多くの人は納税の義務があるからしょうがなく払っているという感覚なのだ。しかし、本当にそうだろうか。私は、納税という行為は「募金」だと祖父の出来事を通して思った。自分が払った税金が病気の人を助ける。家族を助ける。地震で被災した人を助ける。世界中の貧困や飢餓で苦しむ人を助ける。私たちは日々顔も名前も分からない誰かを助けているのだ。そしていつか自分が働けなくなった時、自分が払ってきた税金がめぐりめぐって助けてくれるのだ。現在、私が納めているのは消費税のみであるが、納税が本格的になる日はそう遠くないだろう。だからこそ、私は本格的な納税者となった時、税金をしょうがなく払うのではなく、税金を払うことに誇りを持ちたい。そして、少しずつでも社会に貢献していき、誰かが笑顔になってくれたらうれしい。
昨年、私の祖父は多発性骨髄腫という病気を患った。骨髄の中にある形質細胞と呼ばれる細胞ががん化し、骨髄腫細胞というものになり増殖する血液の病気だ。動悸や息切れ、骨折の痛みなど症状はさまざまだ。祖父は三ヵ月にわたる入院や薬による治療の日々を過ごし、現在も通院をしている。私はふと思ったことを母に聞いてみた。
「おじいちゃんもおばあちゃんも年金で生活しているけど、おじいちゃんの入院費とかって大丈夫なの?」 すると、「おじいちゃんは国の高額療養費制度に適応するから国が何割か負担してくれるんだよ。」と母は答えた。「高額療養費制度」を知らなかった私は詳しく調べてみた。
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月で上限額を超えた場合に、その超えた金額分を支給する制度であることが分かった。また75歳以上の人は金額にかかわらず自己負担額を全て合算し、高額療養費を算出するため、より多くの負担を国がしてくれるのだ。長期入院という不安を抱えるなか、 この制度により祖母の金銭面の不安はいくぶん軽減しただろう。なにより私は、祖父が安心して治療を受けられること、まだ祖父の笑顔を見ることができることが嬉しかった。この高額療養費制度は患者はもちろん患者の家族まで金銭面で安心させることができるのだと思った。
納税についての話を聞くとき、よく「取られる」という表現がされる。多くの人は納税の義務があるからしょうがなく払っているという感覚なのだ。しかし、本当にそうだろうか。私は、納税という行為は「募金」だと祖父の出来事を通して思った。自分が払った税金が病気の人を助ける。家族を助ける。地震で被災した人を助ける。世界中の貧困や飢餓で苦しむ人を助ける。私たちは日々顔も名前も分からない誰かを助けているのだ。そしていつか自分が働けなくなった時、自分が払ってきた税金がめぐりめぐって助けてくれるのだ。現在、私が納めているのは消費税のみであるが、納税が本格的になる日はそう遠くないだろう。だからこそ、私は本格的な納税者となった時、税金をしょうがなく払うのではなく、税金を払うことに誇りを持ちたい。そして、少しずつでも社会に貢献していき、誰かが笑顔になってくれたらうれしい。