税が支える私たちの未来

　　「税金のおかげで学費が助かるわ」

ふと母が言葉を漏らす。

　私の家は母子家庭だ。母と、妹の三人で暮らしている。子供二人が学校生活を送れるようにと奮闘する母の姿には感謝しきれない。しかし、税金が母子家庭も支えていると知ったのはつい最近のことだ。

　一学期に、多くの手続き資料を学校に提出した。なぜあれほど多くの資料を提出していたのかと聞くと、学費補助のためだと母は言った。そして、同時に、それが税金で支えられていることも知った。母子家庭にとって税金はなくてはならない存在だ。 一軒家に住んでいる私たちはローンも払わなくてはならない。児童手当、医療費、学費など、すべて税金で賄われている。それだけでも私たちの暮らしは楽になる。毎日私たちのために一生懸命働きながら育ててくれているのは税金が背後にあったからこそだとその時実感した。

「どうして税金を払うの？」ある日母に聞くと、少し驚いたようだったが、優しく微笑んで「みんな平等に安心して暮らすためだよ。」母は続けて、一人ではできないことでも、みんなが協力してお金を出し合うことで、 どんな立場の人もサービスや授業を受けられ、日本にとってより良いサイクルになると言った。その言葉に私は胸が暖かくなった。そして税に向かっての意識や意味を改めて痛感した。

　私が今回取り上げた制度は高等学校等修学支援金制度だが、そのほかにも私たち学生に向けて多くの制度があることを知った。特に母子家庭には児童扶養手当というものや、私の住んでいる地域には母子家庭奨学金というものがある。 これらは母子家庭に寄り添い、国民から集めた税金で福祉サービスやお金の支給などを受けることができる。私の家庭でも利用しているものがあり、税の偉大さを感じた。

　しかし、こういったものは区役所などで申請するものが多く、申し込みをし忘れる人もいるという現実に、私は驚かされた。すべての家庭に十分な支援が届いていないということをなくすために、私たちができることは、情報共有や、制度への理解だと思う。 　税金は、私たちに一人では生きていけないことを教えてくれる。みんなで支えあうことで安心して暮らしていける。そのような社会を築いていくために私はみんなのために働き納税を恐れない大人になりたい。税を通じて人と人がつながり、支えあう社会を築くことが未来の私たちを明るくする鍵になるのだ。

　母が働いて納めている税は単なる負担ではなく、社会全体を支えるための大切な仕組みだ。税に対して嫌なイメージを持つ人が多いが、税のおかげで救われた人や、成長できた人がいることを忘れてはいけない。母が私たちをここまで育ててくれたのも税金のおかげだ。 　この税の作文を通して税金について考えるきっかけになり、納税に肯定的な意識を今の若者たちに持って欲しい。税金があるからこそ私たちはここにいるのだ。

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