私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
持続可能な自治体を目指して

西舞鶴高等学校 一年
村田 奈々香

 「ふるさと納税は本当にふるさとに対して税の意義を担っているのだろうか。」

 私は高校の公民の授業でこのふるさと納税の仕組みを習い、興味を持った。ふるさと納税とは、本来は「自分の故郷に今から納税してあげられる仕組み」であり、若いうちは都会に出て働き、引退後はふるさとで暮らす人に向けた納税の仕組みである。しかし、私たちがよく知っているのは恐らく、「自分の住む自治体とは別のところに納税し、良い返礼品を手に入れる」というものだろう。

 この差が私に、ふるさと納税のより良いあり方を考えさせてくれた。

 では、ふるさと納税のふるさとに対しての税の意義に関わる、最大の問題点とは何だろう。私が考えるのは、「今自分の住んでいる自治体の歳入が減る」ということである。それは、自分の自治体へ行くべきお金が関係のない自治体へ寄付されるのだから当然である。

 大事なのは、これが意味するのは、住民である私たちに使われるお金が減る。つまり公共のサービスが手薄になるということだ。これは持続的に自治体が続いていくためには逆効果だと思う。

 ここで私が提案したいのは、ガバメントクラウドファンディングである。これは返礼品ではなく、寄付先・寄付金の使い道に重点をおいた仕組みである。寄付者は、クラウドファンディングのためにプロジェクトを企画した自治体の支援のために寄付する。そして、寄付した自治体のイベントの参加券などのサービスが貰える。これによって自治体にお金だけでなく、持続的な繋がりも得ることが出来るのである。なぜなら、ふるさと納税では返礼品を返して終わりだが、ガバメントクラウドファンディングは、寄付者が直接場所を訪れるきっかけとなるからだ。すなわち、持続的に寄付者と自治体が繋がることができるのである。これならば、税の意義である社会の維持・運営や、私たちが社会で生活していくための働きをより強く担っているのではないだろうか。

 これらのことから私は、ふるさと納税からガバメントクラウドファンディングに転換していくべきだと考える。ふるさと納税の仕組みを使ったこの方法なら、自治体は必要な分のお金を集めることができ、同時に人々も集められる。きっとこのコロナ禍で中止になったイベントや祭りも多いだろうから、これを利用して、再開や代りの催しができるかもしれない。

 これこそまさに、私たちが目指すべき、自治体・ふるさとへの意義ある貢献、税のよりよい集め方ではないだろうか。