私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府知事賞
思いやりのある社会

国立舞鶴工業高等専門学校 3年
小山 夏実

 日本の現代社会は今、決断を迫られている。「高福祉・高負担」の社会か、「低福祉・低負担」の社会か。私は、日本は前者に舵を切るべきだと考える。

 私は、母子家庭に育った。幼い頃は知らなかったけれど、母子家庭世帯は国や地方自治体から経済的な援助を受けることができる。例えば、母子家庭世帯は小中学校の給食費や教材費を全額支給される。また、十八歳以下の子どもと加えて母親も無償で医療機関を受診することができる。それでも、母は私が幼い頃からずっと働いていた記憶がある。母が私にそのような愚痴をこぼすことは一切なかった。しかし、今になれば本当は私に不自由な思いをさせないように一生懸命育ててくれたことが分かる。だから、私が高等専門学校(以下、高専と記す)に通い、寮生活を送ることができるのは決して当たり前ではない。母とそれを支えてくれる税のおかげなのだ。もし日本が「低福祉・低負担」の社会だったならば、今の私たち家族の生活は成り立たないだろう。

 しかし、「高福祉・高負担」の社会に反対する人も多いだろう。自らの意志でない負担増加に嫌悪感を示すことは無理もない。なぜなら、納めた税金の暮らしへの還元を実感できないからだ。私は母子家庭世帯への援助を通して税の恩恵を享受した。高齢者など社会的に弱い立場にある人は税の恩恵を受けやすいが、働く若い世代がそれを実感できる機会は少ない。これは日本の大きな課題である。
 今年十月に消費税率が十パーセントに引き上げられる。少子高齢化が進む日本では、今年も引き上げが予想される。その際にいかに国民の賛成を得るかは、税がどのように使われているか実感できることにかかっているのではないか。

 やはり、日本は「高福祉・高負担」の税金を目指すべきだ。私が高専で学ぶことができるのは税金の支えのおかげだ。今の私は税に支えられる立場にいるけれど、将来は税を支える立場になって社会に恩返しをしたい。そのために高専卒業後は学んだことを生かしてエンジニアとして活躍したい。税金は生活の重荷ではなく、思いやりのある社会への「投資」であってほしい。そのために、税金を納める全ての人が暮らしへの還元を実感できる社会を実現すべきだ。