私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
それは素晴らしきライダーライフ

国立舞鶴工業高等専門学校 3年
田村 優典

 「ブーーーン」

 今日もバイクが風を切る。爽やかな初夏の山並みに、エンジン音がこだまする。私は今、ピカピカに舗装されたアスファルトの道路を走っている。そしてフルフェイスのヘルメットにかかるこの風の重みは、私達にかけられた責任の重みだ。私達のライダーライフは、納税という責任を果たす事で成り立っている。

 これは私が友人達とガソリンスタンドに寄った時の事だ。ある友人が給油する時にガソリン代が高いと言っていた。確かにガソリンには軽油税、ガソリン税、消費税の二重課税になっており、ガソリン代の半分程が税でできている。私はその友人にガソリン代の約五割は税だと伝えると、友人達は知らなかったようで「暴利」だとか「ぼったくり」だと口々に不満を言った。格差の拡大や税金逃れなどが度々世間を騒がせている中で、税に対して良い印象を受けるはずもない。私はそんな嫌われ者の税が、調べていくうちに「ぼったくり」ではないと思うようになった。あらゆる面で使われているはずの税、彼らはその恩恵を上手く実感できていないのだ。

 警察庁交通局によると、平成三十年の交通事故による重傷者数は、自動車乗用中は9415人、自動二輪車乗用中は4625人、自動車の方が登録車台数が約二十倍も多い事を考えると、ライダーの方が十倍近くの確率で重傷を負いやすいのだと分かるだろう。そしてバイク乗り達を、税は保障という形で助けてくれる。しかし、私の友人と同じように愚痴をこぼしながら納税し、それによってピカピカな道路が保たれていると知って、気持ちよく走れるだろうか。

 私は友人達に言いたい事がある。ガソリン代の半分が税なのは、道路が走りやすいように整備されているからだと。税のおかげで怪我の心配をせずに運転できるのだと。そんな当たり前な事は、改めて言われないと意外と気付かない。今度会った時、冗談っぽく税の有り難みの話をしてみようと思う。きっと彼らはそれを理解してくれるだろう。そしてそんな何気ない会話が、納税という行為に意義をもたらすのではないだろうか。

 私達が日常だと思っていたものは、実は税によって守られていた。納税の必要性とその恩恵が受けられる事の素晴らしさを思い出し、納税という行為に意義を与えていく。そうする事で、初めて日本の国道を走る権利が貰えるのではないだろうか。「素晴らしきライダーライフ」を過ごすためには、それは権利ではなく必須事項ではないかと考える。

 ヒビ一つない道路をツーリングできる。危ない夜道は街灯が照らしてくれる。そんな何気ない幸せが税によって成り立っているという事を頭の片隅に入れておく。それが納税以外の、納税者の責務だと考える。誇りを持って、胸を張って道路を走れるような、そんな格好良いライダーに、私はなりたい。