私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
昔を知る

京都教育大学附属高等学校 1年
渡邊 璃音

 この春、私は高校生になった。そして私は親から多額のお金を貰って、学校へ教科書を買いに行った。今まではこんなことなかったのに。そう思った時、ふと中学まで使っていた教科書の裏の表紙に「税金によって無償で支給されているので、大切に使いましょう」といった事が書かれてあった事を思い出した。

 日本では次代を担う児童、生徒の国民的自覚を深め、我が国の繁栄と福祉に貢献してほしいという国民全体の願いで、小中学生には教科書が無償で支給されている。そこには、教育費の保護者負担を軽減する効果も持っている。

 小学校に入学して、初めての教科書を貰い、学年が上がる度に、また新しい教科書を貰う、それを何の疑問にも思わないまま九年が過ぎ、今回税の作文を書く事によって、教科書無償制度の奥深さを知った。それには長く差別と貧困で苦しめられてきた人たちの闘いが大きく関係していた。子どもに教科書を買ってあげることが難しい親たちは、地元の熱心な小中学校の教師たちの協力を得て、「教科書をタダにする会」を開き、署名活動に取り組み、多くの団体にも働きかけた。何度も何度も交渉し、やっと約束をするも、直前に総辞職されるなど、中々話は進まなかったが、なんとか最初は一年から三年生の分まで、次の年には五年生の分まで、その次の年には六年生の分まで、と少しずつ増やし、長い年月をかけて、小中学生全員がその対象になることができたという。調べている時、初めて待ちに待った教科書が貰えた瞬間を撮影した写真を見かけた。子どもたちの顔は活き活きと、これから新しいことを学べることに対する喜びが溢れ出ていた。現代の私たちは普段、「学ぶことができる喜び、有り難み」を忘れているのではないだろうか。

 「税」この一言の後ろには、たくさんの歴史が隠れている。昔の人の想いや行動を知る事によって、本当の意味での「税」に少し辿り着けた気がした。

 物質的にも食糧的にも恵まれすぎている今、周りに感謝する事を忘れず、次世代の子ども達にも引き継いでいけるよう、これからしっかりと歩んで行きたい。