私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
納税協会連合会会長賞
八円分の幸せを

京都文教高等学校 2年
山本 芽依

 “百円ショップ”なのに“百八円”払わなければいけないことが、小さなストレスだった。後ろについてまわる八円がどうにも煩わしく、それがもう少しで十円に変わると聞いた時には、冗談じゃないと憤りを感じた。

 お金を払えば、ものが得られる。指定された分の金額を払えば、本が買える。食料が買える。映画が観れる。アトラクションに乗れる。大概、その場でものと金の交換が行われる。きっと私が消費税を嫌う理由はそこにある。レジで百八円を支払っても、私に手渡されるのは百円分の商品のみ。「あれ、私の八円どこ行った?」「余分に払ってるじゃん」と思ってしまっても仕方がないだろう。しかし、それは私に税の知識が全く無かったからである。

 そもそも、日本の消費税は世界的に見て高くはない、という事実に私は驚いた。「ハンガリーは二十七パーセントだよ。八パーセントなんて安いものだ。」と外国に詳しい親戚の話を聞き、私は様々な国の消費税率を調べた。すると、ヨーロッパの多くの国が二十パーセント前後であることが分かった。そして、その国々は、“高福祉国家”として、大学の学費が無料になり、高い学力を養うなどの手厚い社会保障制度が実施されている。早くから男性の育休を認められており、私はこれを知った時、自分の中で増税反対の気持ちが薄れていくのを感じた。税率の高い国ほど、幸福な生活を送っているように見えたからだ。

 日本は優しい国だと思う。私たちは、比較的環境の整った場所で生活している。税率八パーセントでこれだけ安心安全な暮らしがおくれていることへの感謝を一人でも多くの人々が感じるべきだ。多くはない税金を目一杯、私たちが幸福な生活をおくるための資金に使われているのだから。年金、医療、介護、子育て支援、全て私たちにとって必要なもの。お金を払っているのに、何も返ってきていない、なんてことはない。私の払った八円は、巡り巡って、私の生活の中に自然と溶け込んでいる。

 増税にデメリットがないわけではない。大きな負担と感じる人も多いだろうし、集めた税を無駄のないように使えているか、再度見直しをはかる必要もある。しかし、何も知らないまま、ただただ「お金を払わされているだけ」と考えるのは間違いである。病院に行った時、治療費が三十パーセントで済むことが、年をとったら介護してもらえるという安心を得ていることが、自分たちの払っている消費税の見返りであることを多くの人に実感して欲しい。私達の消費税は充実した生活への代価なのだ。

 百円ショップのレシートには、商品名の横に“百八円”と記載されている。私は百円の商品と共に、もっと大きなものを手に入れている。八という数字がとても小さく見え、自分の得ているものがとても大きく感じるのは、消費者としての自覚をもてた証拠だろうか。