私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
大阪国税局長賞
幸せな国であるために

京都教育大学附属高等学校 1年
中村 文乃

 今年八十二歳になる私の祖母は、以前に肩の手術のため一か月ほど入院したことがある。退院後も左手が使えず、どうやって生活するのだろうと心配した。その時、介護保険の制度を利用し、お風呂に手すりをつけてもらった。安心して入浴ができると、嬉しそうに話していたことを覚えている。高齢者が老後に年金をもらって生活し、入院費用は医療保険、退院後の生活では介護保険を利用することができる。日本はこのような社会保障制度が充実しているのだと安心感を持った。

 しかし日本では今、世界に例のないほど急速に高齢化が進んでいる。同時に出生率の低下による少子化が進み、四人に一人以上が六十五歳以上という超高齢社会となっている。高齢化により、年金や医療、介護にかかる費用は増加するのに、それを支える若い世代の人口が減っている中、年をとっても、病気やけがをしても安心して暮らせる社会であるために、どうしたらよいのだろう。

 社会保障関係費、すなわち私たちが安心して生活するために必要な医療、年金、福祉、介護などの公的サービスにかかる費用の四割は、税金から賄われている。また、国家予算の歳出で見ると、社会保障関係費に一番多くの費用が使われている。少子高齢化が進む中で、将来的にも安定的な財源を確保し、社会保障を充実させるため、あらゆる政策が進められてきたことを知った。

 その中で、「高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる」よう、地域包括ケアシステムという支援・サービスの提供体制の構築が進められているそうだ。このシステムを効果的に機能させるための四つの「助」がある。「自助」は、自分自身が健康維持のために行動すること、「互助」は、家族・友人・近所の人との助け合いである。そして「共助」は、医療、年金、介護保険など、保険費用を出し合いながら助け合うこと、「公助」は、これらでは対応できない場合に福祉の制度で助けることである。社会保障制度も税金制度も、助け合い、支えあいの考え方から成り立っているのだ。

 人は、人とのつながりの中で生きていく。大人になれば社会の中で自分にできる社会貢献をし、互いに助け合う心をもち、安定した社会の実現のために国へ税金を納める。税金が安いに越したことはないが、大人の責任としてだけでなく、「幸せな国であるための制度」であるという本質を理解した納税者になりたい。