私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
国税庁長官賞
教科書の後ろに書かれた言葉

京都教育大学附属高等学校 1年
白杉 紫帆子

 「はい、これお金。」四月、高校の入学前の登校日の前日。私は母から教科書代を預かった。その時、私は違和感を覚えたのと同時に小学校で初めて教科書をもらった時のことを思い出した。もう十年程前のことなので、小学一年生の時の出来事なんてほとんど覚えていない。にも関わらず、なぜかこの時のことだけは、はっきりと思い出せたのだ。

 同じく四月のこと。小学校に入学した私たちには教科書が配られた。初めてもらった教科書は、これから始まる学校生活をより一層楽しみにさせるものの一つだった。そして何日が経ち、いよいよ教科書を使う授業の日がやってきた。「やっと教科書を使える。」とわくわくしながら先生の「教科書を開いてください。」という指示を待っていた。しかし、先生の口から発せられた言葉は私が想像していたものとは違うものだった。「みなさん、教科書を開く前に、教科書の後ろを見てください。」私は若干の驚きを感じながらも、言われたように教科書の後ろを見た。そこには小さな文字でこう書いてあった。

 「この教科書は、これからの日本を担う皆さんへの期待をこめ、国民の税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」

 先生はこの言葉を読み、私たちに分かりやすく説明して下さった。しかし、その時はまだこのことの意味はあまり分かっておらず、ただ「そうなんだ。」と思っただけだった。この言葉は、どの教科の教科書にもしっかりと書かれていた。

 さらに、中学に入学し、教科書をもらった時も同じことを言われた。その時には税について少しだけ知識を持っていたので、なんとなくだったが「大切に使おう。」と思えた。

 そして現在、私の教科書にはもう、小中学生の頃に見たあの言葉はどこにも書かれていない。そこで初めて、私はやっと「税が私たちを支えてくれていたんだ。」ということを実感したのだ。もしも税がなかったら、私たちは教科書代を自分たちで支払わなければならなかっただろう。そしてそれは、かなりの負担になったに違いない。

 税によって、国民全員で一人一人を支えていく。そして、支えられ大人になれたからこそ、今度は税によって、皆で子供たちを支えていく。とても素敵なつながりだと感じた。税は、そのつながりをつくるのに欠かせないものなんだと思った。

 税と聞いてイメージするのは「家計を圧迫する」といったような、マイナスのものが多い 。私たちは小さい頃から税に助けられてきたのに、そう感じてしまうのは、とても恩知らずなことなのではないだろうか。もっと税のプラスの面を見ようとし、知っていく必要があると思った。税を「払わせられている」のではなく「払うことで未来を支えている」と考えれば、これほどまでに名誉なことはないだろう。