私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
未来へ断ち切る二つの貧困

京都府立宮津高等学校 1年
大木 香穂

 世の中には、二種類の貧困がある。一つは経済的なものだ。これは目に見えるために、様々な政策が為され、日本でも収入格差をなくしていこうとする考えが広く行き渡っている。例えば、生活保護制度や、奨学金が一つの例だろう。しかし、その裏には、目に見えない貧困があることを、私たちは忘れているのではないだろうか。それは、孤立という貧困だ。経済的貧困がもとで教育を受けられず社会から孤立してしまう子ども達。家族がいない事に加え、地域との関わりを持たず孤立してしまう高齢者。彼らの心の孤独は、どんなに深く、悲しいものなのか。税金は、このような人達にこそ、あるべきだ。

 ある日、私は母から全国三百ヶ所にある食堂の話を聞いた。その食堂の名前は「こども食堂」。ここでは、一人でご飯を食べなければならないこどもがたくさんの人との関わりを持って食卓を囲む。彼らの目に映る温かな食事は、どんなにカラフルに見えるだろう。ここでは、教育を受けられない子、また、学校へ行きたくない子など、様々な思いを抱えた子どもがやってくる。食堂の灯りは、その苦しみや悲しみの中にある小さな幸せを温かく照らし、未来への希望の光となるだろう。私はこの灯りが、税金という橋を渡り全国へ広がっていくことを、心から願っている。

 また、もう一つの孤独は、高齢者の心にある。少子高齢化という現代社会の大きな問題の中に潜む恐怖は、誰にも気付かれず、誰にも看取られる事なくたった一人で死を迎えることだ。それはまさに、幸せの貧困である。私にとってはまだまだ先の事かもしれない。でも、近所の高齢者と関わりを持つ事で、誰か一人でも心が温かくなるのなら、その時、その行動は意味あるものに違いない。それがいつどんな風に自分の人生に影響するかは分からない。しかもそれが自分の人生を大きく変えるものなのか、自分の運命を決めるものなのかさえも分からない。だとするならば、私は誰かを幸せにできる方を選択する。その出会いを提供するためには、やはり税金が大きな役割を果たす事となるだろう。

 今、孤立の連鎖はまだ続いている。現代に生きる世代から、次の世代へと引き継がれる遺産が、決して、社会からの孤立であってはならない。それを絶つのは、教育、あるいは就職から生まれる社会の中での自分の居場所だ。たった一つの居場所は、現代から未来へ何世代も続く、幸せの贈り物だ。そしてそれは、徐々に大きく広がり、いつしか社会から孤立する人達を救う手段となるだろう。特に教育は、人々に知恵という武器を与える。それは時に人生を大きく変える程の力を持つものだ。そして教育を受けるには、やはり税金が必要不可欠なのだ。私はそんな、教育を受けたくても受けられない、また、たった一人で生きていかなければならない子ども達、そして、つながりのない高齢者に、税金を通して豊かな明日がやってくる事を願っている。