私達の暮らしと税金
高校生の作文優秀作公開
京都府租税教育推進連絡協議会賞
想像の国 A国とB国

京都府立南陽高等学校 1年
中井 由季

 想像してみましょう。

 私たちはこれからA国とB国、どちらかの国を選んで住まなければいけません。A国とB国、大きさも気候も似た国ですが、唯一の違いは「税」です。税がないA国と税がとても高いB国、どちらに住むほうが私たちは幸せになれるのでしょうか。

 まずはA国。この国には税金がありません。なので学校も道路も鉄道も、すべて民間の企業が運営しています。そのため都市部では人材の需要が増え、どんどん豊かになっています。国からの援助がないため、病院や教育にはかなりの負担がありますが、その分、人々の所得も高く、消費税や所得税がないので貯蓄ができるほどです。

 しかし、郊外に目を移すとどうでしょう。所得の低い人は風邪をひいても高い医療費を払えないので、病院に行くこともできません。子供ができても学校に行かせることもできません。年金制度や生活保護の制度がないので生きる術を失った人々が道ばたで倒れているかもしれません。「働かざるもの食うべからず」などという言葉がありますが、「働けないもの」に対しても国が何の援助もできないというのは少し厳しすぎるのではないかと思います。

 次にB国。この国の税は恐ろしく高いです。所得の半分以上は税金としてもっていかれ、何かを買えば50%の消費税がつきます。しかし、そのかわり医療費、教育費は全額国が負担。また郵便局、銀行、鉄道、バス、水道などさまざまな施設で働く人々は国や地方公共団体に雇われた公務員です。社会保障制度もしっかりしており、老後も安心です。

 一見すると高い税を我慢すれば、イギリスの社会福祉政策のスローガン「ゆりかごから墓場まで」状態で、なんの不安もなく生きていける。でも本当にそうなのでしょうか。B国では公務員の数がとても多いです。民間企業よりもクビになりにくい公務員の中には仕事をなまけだす人もでてくるかもしれません。そればかりか、高い税金に嫌気がさした国民が大きなデモをおこすかもしれません。そうなった時、このB国ははたして国としての機能を失わずにすむでしょうか。

 A国とB国、どちらの国の方が幸せなのでしょうか。この2つの国を足して2で割ればちょうどいいのでしょうが、そんなにうまくいかないのが現実です。日本は今、消費税8%を10%にするかでもめているところです。その決断が日本をA国にもB国にもするかもしれません。

 税はあっても、なくても結局国民は不満を持ち続けるのでしょう。それでも私は、A国かB国を選べと言われた時、「それでも私は日本がいい」と言えるように、日本にはきちんとした税金制度をもった国になってほしいです。